沖縄を撃つ2007/12/09 20:27

「沖縄を撃つ!」
花村萬月 著
集英社新書 刊

を読んだ。
著者は、作品中でも述べているように「沖縄大好き」作家である。
しかし、ここで語られているのは、思いっきり冷めた目で見た沖縄である。
昨今の、沖縄楽園幻想を見事なまでに切り捨て、独自の表現で書き綴っているところが心地よい。あるときは、小説なのか紀行文なのか判断がつかないような文章で自らの体験を語っている。
しかし、著者の文章はかなり遠慮がちだ。もっと自分の心情をなりふりかまわず吐露してもよかったのでないかと思うが。
そこは「沖縄好き」であるがゆえの限界なのか。
なにはともあれ、「ドリフト」や「人買い」の章など、一風変わった紀行文で、かなり読み応えありの一冊です。お薦め。