円谷一という人物2006/07/31 22:17

「円谷一 ウルトラQと“テレビ映画”の時代 」
白石雅彦 著
双葉社 刊

を読んだ。
多分今まで、円谷一という人物について、ここまで詳しくまとめられた出版物は無かったのではないか。
氏が生まれてから、父円谷英二の仕事に触れ、民放テレビ局に就職し数々の業績を残し、そして初期の円谷プロを支え、そして帰天するまでを、当時の関係者へのインタビューと著者の詳細なリポートとで克明に綴っている。
とにかく面白く、一気に読み終えてしまった。
自分としては、円谷一という人物に対しては、あまり印象が強い方ではなかった。初期の円谷作品では、どうしても金城哲夫や市川森一、上原正三、佐々木守といった脚本家、あるいは飯島敏宏や中川晴之助、満田かずほ、実相寺昭雄ら監督の方が印象的であった。彼らのように技巧派ではなく、どちらかというとオーソドックスな作風だったことから、そのような印象をもったのかもしれない。またウルトラセブン以降の監督作が少ないせいかもしれないが。
そんな氏の作品群の中で、私のお気に入りの作品はというと、「レモンのような女」と「怪奇大作戦(第8話)光る通り魔」くらいだろうか。
しかし、そういう範疇でみるのではなく、氏が亡くなる昭和48年まで円谷プロを支え、たくさんの作品を送り出してくれた人物だということで、もっと評価しなければならないのだ。