沖縄イメージを旅する2008/09/01 22:53

「沖縄イメージを旅する 柳田国男から移住ブームまで 」
多田治 著
中央公論新社 刊

を読んだ。
戦前から行われていたという沖縄観光。そのころから認識されていた沖縄イメージの変遷を、時代ごとに、本土との歴史的な係わり合いとも照らし合わせながら、細かく纏めた研究本である。
しかしこれほどまでに、沖縄という場所が、本土との関係性・相互作用の中から、特殊な変化を続けてきたということに、いまさらながら驚かされた。
我々ツーリストが沖縄に求めてきたものとは何なのか。そして沖縄の人達はそれをどう受け入れてきたのか。そしてこの先、日本と沖縄はどう向き合っていけばよいのか。
「第九章 八重山の現在」から「終章 沖縄と日本」までの2章は、特に興味深いものがあった。私は3年くらい前に石垣島を訪れて以来、とんとご無沙汰してしまっているが、その間に石垣島はものすごい勢いで開発がすすんでいるらしい。それがいい方向へすすんでくれていればいいが、昨今の移住ブームにのっかって、あらぬ方向へ進んでしまっているのではないかと懸念している。ここで述べられているように、決して観光客優位としてではなく、市民優位の上で「石垣らしさ」を前面に開発を進めていってもらいたい。
沖縄との関わりをみることで、逆に日本の問題点も見えてくるというような、かなり中味の濃い本です。
沖縄が好きな人には是非お薦めしたい一冊です。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://amakuma.asablo.jp/blog/2008/09/01/3734108/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。